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ASEANの初めの目標は経済共同体を目指すことでした。

ASEAN内の経済改革を図り、新たにAEC(ASEAN経済共同体)として経済発展をさせていく為です。
この改革により期待されていたことは、ASEANの人口6億人以上もの規模の単一市場並びにヨーロッパ連合国、中国、日本及びアメリカ合衆国と並ぶ規模の単一生産拠点を作り出す事などが挙げられます。
この改革はジャカルタにあるASEAN事務局の発表に基づくものではなく、ASEAN地域の経済改革を行うにはまず経済を発展させる事も必要になってくるので、完璧な経済共同体を完成させる事は何十年とは言わずとも、何年もの時間を要します。
これまでにASEANの経済改革によって達成されてきた事には、AECの経済の全体的な開拓(これらの国々の経済発展には差があります。)、AFTA(ASEAN自由貿易地域)、AIA(ASEAN投資地域)、AFAS(ASEANサービス枠組み協定)、その他数々の協定がありますが、これらは必然的にAECの経済発展の差を埋めるという訳ではありません。
ミャンマーやラオスのような出遅れてしまった国々と、著しい経済発展を遂げているシンガポールやマレーシアとの経済格差は益々開いていっています。
さらに、ASEANの各地域で認められているブループリントやその他のプログラムなどをそれぞれの国の国家政策に組み込んでいく必要があり、それは簡単なことではなく、未だ完全ではありません。
例えば、AFTA(ASEAN自由貿易地域)により自由な貿易が可能になった事に関しては、関税削減がAECによって達成された事もあり成功と言えるでしょう。
しかし、ASEAN内での非関税障壁及び貿易摩擦はASEAN内にはこのような問題を解決する機関がない為WTO(世界貿易機関)に頼っています。
また、移民に関する事項のASEANによる宣言と、実際の施行状況ほど差が出ている項目は無いと言えます。
ASEANは2007年にセブ島にて移民労働者の権利宣言を採用しました。
しかし、ASEANの国々がこの宣言の施行方法(労働力を受け入れる側及び送り出す側)に同意しておらず、未だこの宣言に対し効力のある施行手段を見つけられていません。
熟練労働者の自由な移動に関するMRA(相互承認協定)においては、最もよくない状況だと言えます。
熟練労働者の自由な移動は、地域産業発展には欠かせない項目です。
このために、ASEANはサービスの行き来についての基本をMODE4(自然人の移動によるサービス提供)に基づき、様々な職業のMRAを導入しました。
MRAとは、様々な分野の職業で、教育、技術及び資格を平等に認めることです。
ベトナムとマレーシアの例を挙げると、ハノイで歯科医の資格を取得し、クアラルンプールで開業する事が可能ということになります。
初めにこのMRAが導入された職業は建築業、会計業務、看護、測量、医療及び旅行業が挙げられます。これらは2005〜2012年に認められました。
MRAによって地域及び国レベルで様々な組織や会社が設立されました。しかしMRAを様々な分野で導入し活用して行くにあたり、問題点も残されています。
ADB(アジア開発銀行)とMPI(移民政策研究所)によると、MRAにより定められている基準は他にもあり、言語、特定の機関による各資格の認定書、最低限の実績年数、国家試験の合格などが挙げられます。
これらを踏まえた上で、以前よりも熟練労働者の自由な行き来は増えているのでしょうか。
答えは、はい、ですがMRAに関しては、いいえ、です。
高等教育を受けている移民の行き来は、MRAに関係なく行われています。
シンガポールやマレーシアなどの国は移民労働者の行き来を促進しており、これには賃金の急上昇を抑え、必要な技術を手に入れられ、さらにはその技術の向上を可能にするなどの理由があります。
実際に、多くのフィリピンの技術者などはMRAに関係なく、ASEANのビザの制度(21日間以内の滞在ではビザは不要)を利用し旅行者として入国し、企業に直接応募をするなどの手段を取っています。
つまり、MRAの導入は、ASEAN各国で必要な技術が異なる事や規制が異なる事等から苦戦していると言えます。
多くの労働者を発信しているフィリピンでは、移民労働者については憲法で明確に定められています。
開業(営業)する事はフィリピン国民のみ許可される。(第7条第14節)これは労働法第40条でも強調されており、労働許可証はフィリピン国民のみに付与される。
移民に労働許可が与えられる場合は、フィリピン国内で優先順位の高い職業においての責任管理者またはフィリピン人では補いきれない職種において、与えられた仕事に意欲的に取り組める移民に限られています。
それにもかかわらず、ASEAN内での特に、シンガポールやマレーシアでは国内で必要な分野においての熟練労働者の移動は盛んに行われています。
しかし未熟練移民労働者に関しては未だ様々な問題が残されています。
労働者の自由な移動は、実際のところ行われておらず、必要な分野の熟練労働者のみの国間の比較的自由な移動のみにとどまっています。

広西チワン族自治区とシンガポールのASEANへの貿易拡大計画について

「中国南部に位置する広西チワン自治区が新たに有意義な貿易を行う事にした」、と、経済貿易大臣であるKoh Poh Koonが発表しました。
Dr.Kohは、中国(広西チワン自治区)ベトナム経済貿易協力会議にて、ベトナムとの国境に接している広西チワン自治区は「豊かな土地に恵まれており、
尚且つASEANへつながる海にも面している為、ベトナムと中国による統合イニシアチブにおいて重要な交差点になるでしょう」と述べました。

4月に行われたミーティングに続き、重慶市と南西部とシンガポールが広西チワン自治区を経由した新たな輸送経路を設ける事に対し、前向きに検討している、
と昨日行われた会議でシンガポールIEと重慶市の地方議会が発表しました。

貨物輸送は重慶市から広西チワン自治区のチンジョウ港へと地上の経路で運ばれ、
そこからトンキン湾(中国ではベイブ湾として知られている)経由でASEANへと輸送されます。

「(中国が進めている)一帯一路(OBOR)構成において、この今までになかったシンガポールと重慶市の協力体制は大きな前進です」とDr Kohがマンダリンで発言しました。

Pacific International Line(PIL)もまた、南寧市に位置するシンガポール重慶市総合物流所を発展させる、という考えを4月に発表しています。
「この新たな計画により、総合物流所による輸出入はさらに勢いづくでしょう」とDr Kohは述べています。

重慶市が海上アクセスを有効活用し中国西部の経済発展を促し、中国とASEAN間の貿易も発展させる事により、
シンガポールと中国両国の経済を確実に発展させていくことでしょう。

PIL代表取締役 Teo Siong Sengはこう述べています。「現時点での一帯一路計画は(特に大規模な両国間のインフラ計画)政府によるものである。
しかし、更に経済面が関わってくるようなことがあれば、更なる経済発展につながり、両国の協力体制も向上するでしょう。
経済発展面において、シンガポールは中国程発展しておりませんが、経済改革においてはシンガポールも中国に劣りません。
シンガポールの経済面では、重慶市の有利な海上アクセスに期待をし、ASEAN間の貿易も発展させ、シンガポールと中国両国の経済を発展させることに期待をしています。

中国の経済大臣、またEast Coast GRC deMpを務めるLee Yi Shyanも、この新たな経路により戦略的で両国間の更なる協力体制を発展させる。
「重慶と、南部の交通網の発展に参加し協力することが重要になるでしょう」と述べています。

この経路は電化製品、家具、材木、機材等の巨大な物流経路になるでしょう、とベイブ湾ポートグループ代表Mr Zhou Xiaoxiは言います。

この新たな経路に続いて、重慶市からPILのある広西チワン自治区をつなぐ路線上にPSA Internationalとベイブ湾ポートグループは倉庫を設けました。

広西省の経済副局長Mr Ma Jixianは他の友好的な貿易手段は南部の経路同様通関を一か所にする必要性もある、としています。