女性労働者に更なる権利を与えなければならない

10ヵ国により構成されているASEANはエネルギーに満ちあふれた経済組織です。
ASEANは現在世界第7位の経済力と世界第3位の労働力(これは将来的に更なる成長をする可能性を持っている)を誇っています。
ASEANの可能性を最大限に引き出すためには、様々な分野での労働力及び国間での自由な労働力の行き来が行われる必要があります。
現在、ASEANでは労働者の移民が活発に行われています。
ASEANに移民してくる人口は990万人にもなり、そのうち690万人がASEAN各国からの移民です。
ASEAN内での移民者の約半数は女性です。さらに統計結果によれば、この割合は増え続けています。
しかし、これはあくまでも記録されている移民労働者のみに基づいているもので、未申請の移民労働者は含まれていません。
さらにこの移民労働者たちは現状に満足しているのか、また、平等な権利は与えられているのか等は分かっていません。
ASEAN事務局、フリードリッヒ・エーベルト財団及びインドネシア労働省と協力し、UN Woman todayは「AEC(ASEAN経済共同体)においての女性移民労働者」という調査記事を出版しました。
この中では、「ASEANへ移民してきた人々に平等な機会が与えられていれば、移民者の利益やチャンスは更に大きかったのか」について書かれています。(この調査は、DFAT(オーストラリア外務貿易省)による資金提供により実現しました。)
この調査により分かったことは、ASEAN内の女性労働者はこれらのグループに集中している事です:低賃金労働者、技術を持たない労働者、軽視されている分野においての労働者等(これらの職業は不安定な環境で、労働者への権利があまり与えられておらず、社会保証などの制度も適応しない場合が多い) 。
この調査では、ASEANの女性労働者は様々な職業に平等に参入し、ASEAN経済統合による利益を平等に受ける権利があるのではないかについての議論がなされており、女性労働者でも安心して働ける場所を提供する人材紹介会社や支援する団体も増えています。

<参考サイト>
ASEANで女性でも安心して仕事が探せる求人サイト:キャリアリンクアジア

経済成長の最中である地域の非公式経済に参入することは、女性に対しての社会保障制度の強化、採用するまでの手続きの簡素化及び低コスト化、職業訓練の強化並びに法律扶助が必要です。
この調査では、適切な労働力の移動手段を制定することにより、より良い職業を手に入れる平等な権利が出来るのではないか、という結論にたどり着きました。
ASEAN内で、男女平等に対しての動きが勢いづいてきており、社会的に見て、法の下で女性が利益(教育面、健康面等)を得る事が可能になってきました。
しかし、女性がもっと効果的に経済に参加するには更なる努力が必要なのも確かです。
私たちの調査によれば、女性移民労働者は、移民先国と出身国のどちらの経済にも貢献していることが分かりました。
女性移民労働者は男性移民労働者に比べ給料の更に大部分を自国に残してきた家族に送り、彼女らの子供、出身地域及び出身国に貢献しています。
更に彼女らは、働いている国において賃金上昇を促し、すべての労働者の生活基準の向上を図っています。
女性の権利及び平等について働きかける事により、ASEANは全体的な成長を遂げる事が可能と言えるでしょう。
これが今すべきことであり、賢い事でもあります。
女性に平等な権利を与え、女性にどれだけの能力があるのかを認識するのです。
ASEANは彼らの目標である誰も取り残されることのない、人間優先及び人間中心のASEANに向け更なる活動をしていかなければなりません。
彼らがとるべき行動は以下が挙げられます。

経済援助、女性起業者への支援(女性起業者はすでに各国で活躍しています)、女性への教育の強化(化学、テクノロジー、エンジニア、数学等)
男尊女卑の古い考えを排除し、第4次経済発展において女性が男性と並びより良い職業を求め競争する事を可能にしなければなりません
(そのためには女性の採用を増やし、彼女らにふさわしい職業を与える事等が上げられます)。
まずは、(UN Woman)WEPs(女性のエンパワーメント原則)にサインし女性の参入に重点を置き、文化の変革を受け入れるのです(家庭内での男女の役割の見直し等)。
多くの男性は、子供、病人及び年配者に対して女性と同等の責任を負うことについて問題ないとしています
(しかしASEAN内での現状は、女性の方が圧倒的に家事及び育児をしており、この事により経済参入に後れを取っています)。
これらの提案は、国連事務総長により定められた女性の経済参入についてのハイレベルパネルに反響されたものです。
このパネルは従来の経済に対する常識を変える事により、男女平等に家事及び育児をし、女性が平等に経済参入する事を可能にします。
企業には、女性採用が目標数に達するとインセンティブを受け取れるという利点もあります。
私たち全員(規則発案者、会社及び個人)が女性に対しての平等な機会、権利そして平等な労働環境を手に入れられる社会(これによりASEANの更なる発展も促せる)を作る責任があります。
これは女性にだけ利点があるのではありません。女性に権利が与えられることにより、経済全体、社会及び国全体の利益につながります。
更にこれはASEAN内及び国際貿易を活性化させ、将来的には全てにおいての目標、人間中心を達成できるのです。