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アジアでの不動産投資を視野

アジアでの不動産投資を視野に入れているのであれば、ASEAN(東南アジア諸国連合)が最も適している地域と言えるでしょう。
1967年のASEAN設立以来、ASEANは国際経済において活性化してきています。
ASEANのオフィシャルサイトで発表された「ASEANでの投資」によると、ASEAN10ヵ国のGDP(国内総生産)は2015年の調査で2.43兆ドルにまで達している事がわかりました。
年間の実質成長率も2007年から2015年にかけ5.2%上がり、2015年にはASEANの経済力はアジア第3位、世界第6位になりました。
しかし不動産投資において、はたして投資家たちはASEANを選ぶのでしょうか。
主要都市には豪華な物件が数多く存在するシンガポール、マレーシア、タイ及びインドネシア(ASEANの4大強国)に注目してみると良いでしょう。
このように、Knight Frank のニコラス・ホルトは言っています。
Knight Frankの調査によれば、クアラルンプールの過去5年間の居住用財産資本は2017年の第1期の時点でたった2.1%であり、一方はジャカルタ123.3%、バンコクが51.3%にまで成長し、シンガポールは1.3%下落しました。

ホルトは「クアラルンプールは他都市に比べ低価格で高品質な物件を提供しています。」と、述べています。
コンサルタント会社の調査によれば、物件価格は2016年末には1平方メートルあたり4,608.30ドルで、ジャカルタの4,366.81ドルよりも僅かに高く、バンコクの9,708.74ドルとシンガポールの23,255.81ドルよりもはるかに低くなっています。
Kight Frank Malaysia事務局長ジュディ・オングは以下のように述べています。
「言い換えれば、投資家は100万ドルある場合クアラルンプールでは217平方メートルの物件を購入できますが、
バンコクでは103平方メートル、シンガポールでは43平方メートルしか購入できないという事になります。
価格の面では、クアラルンプールはとても魅力的です。
物件に対する厳しい規制もありませんし、外国人は自由保有不動産を地域により異なる価格閾値を考慮し購入出来ます。
更に、クアラルンプールは他都市に比べ物価が低く、尚且つクランバレーMRT(大量高速旅客輸送)計画、LRT(軽量都市旅客輸送)網の拡大計画、クアラルンプール-シンガポールHSR(高速鉄道)計画等により交通網が急激に発達している。
2012年に導入されたCooling Measure(過熱抑制策)により2017年第1期の物件価格は1・9%後退したが、2017年第1期のGDPの好結果及び近々行われる総選挙も市場活性化に効果があるのではないかとKight Frank Malaysiaの取締役、Sarkunan Subramaniamは述べています。
7月に開始予定のMRT計画の成功、また新たなクアラルンプール-シンガポールHSR計画が成功すれば、これはマレーシアが東南アジア、もしくは全世界で最も住みやすい地域の一つになるというような大変革になるでしょう。
「クアラルンプールをさらに売り込むためには、政府の印紙税や不動産集益税等、他の物件取引にかかるコストを改訂する必要があります。
私の第2の故郷であるマレーシア発展の余地はあり、更なる人気を得るでしょう。」と、ジュディ・オングは言います。

シンガポール:安全な土地
一方シンガポールは安全な場所として知られており世界中の投資家の間では人気のある都市で、多くの富裕層が興味を持っていると、ホルトは言っています。
富裕層が海外の物件探しをする時の2番目に人気のある土地だという結果が2017年のKight Frank による調査でも分かっています。
KightFrank シンガポールの役員であるアリス・タンはこう述べています。
投資家や物件所有者の間では、シンガポールは安全地帯だと考えられており、短期・中期間用の投資用物件を探す際とても人気があります。
シンガポールのCCR(高級住宅街)で行われる取引が徐々に増えており、2017年第1期で行われた取引数は729件で全体の14%を占め、これは2016年第1期に島全体で行われた取引数(691件)を上回っています。
また、高級住宅の価格も前年同期比で4%上昇しています。
不動産物件購入の際の印紙税の保有期間が4年から3年に改訂されたことも、人気上昇の理由の一つです。
しかしCCRには未だ5,555もの物件が残っており、これらを改築し取引するには様々な税金がかかる他、確実な利益がでる保証もないため、これらの物件に関しては問題点が残されています。
これらの状況を踏まえ、今後これらの高級物件の価格帯は2017年の前年同期比では1〜2%下落するのではないでしょうか。

ジャカルタ:慎重ながらも楽観的
2016年ではジャカルタの高級住宅価格は前年度同期比で0・3%成長しました。
2017年も慎重ながら楽観的な見方をされています。
2017年に行われた地方選挙が成功を収めたことや、タックスアムネシティプログラム導入にもかかわらず、
投資家たちは政情不安や税金及び銀行の透明性への疑問から投資を躊躇しています。
結果投資家たちの中には、初めて家を購入する人達向けの郊外にある物件の取引をし、今後の不動産市場の動きを見極めています。この状況は2019年の大統領選まで続くのではないでしょうか。

バンコク:コンドミニアムに注目
バンコクの中心ビジネス街に位置する高級住宅は魅力的な数々のプロジェクトや製品基準や価格帯の改定の影響を受け、近年とてもいい状態が続いています。
2012年から2017年の5年間の高級住宅による不動産利益は51%です。
タイは長期投資を考える際、様々な利益を生むとてもいい物件なので、人気は年々上昇しています。
バンコクの主要物件の供給面においては限られています(リーズナブルな土地が限られている為)。
したがって、需要が増えていくにしたがって物件の売値も上がります。
注目すべき点は、バンコクのコンドミニアムの需要は上昇しているという事です。
コンドミニアムは近年バンコクの高級住宅の象徴になっており、交通機関、ライフスタイルの急激な変化がコンドミニアムブーム(特にダウンタウン地区)の要因です。
現在コンドミニアムは若者達からの人気のみならず、年配の人々からの絶大な人気を誇っています。

アジアの経済協力はどのように変わっていっているのでしょうか。

現在、アジアは経済において根本からの変革が行われている最中です。
中国では輸出主導型から消費主導型へと成長しました。
インドでは逆の事が起こっており、インド製商品の製造、輸出が経済成長へつながると考えられています。
2015年に設立されたAEC(東南アジア諸国連合経済共同体)は、更なる物品、サービス及び労働において東南アジア内での更なる動きを目標にしています。
日本はこの構造改革を各国の競争心を高める事になると受け入れています。
この動きはASEAN(東南アジア諸国連合)地域の経済協力及び統合を促進しています。
更にこれは6つのパラダイムシフトを推進します(それぞれ地域経済の予想に深く関係している)。

中国などが中(上)流階級の国になってきた事により、アジア諸国はアメリカ合衆国、EU(欧州連合)のような世界的輸入国になってきました。
アジア及び太平洋による地域間貿易は2010年〜2014年は55.8%だったのですが、2015年には57.1%に上がりました。
GMS(大メコン圏)においては同期間で2倍の8%(4000億ドル)にまで上がりました。
地域間の貿易はそれほど盛んではありませんでしたが、アジアの需要と供給のチェーンとなる事を予想せれ、最近ではそれが専門化されてきています。
AECは恐らくアジアを大きな単一市場にしようという計画の第一歩だと言えるでしょう。

地域間投資の成長は今後も期待できます。
地域内でのFDI(海外直接投資)は2015年には全体の52.6%のまで増加しました。GMS加盟国、カンボジア、ラオス及びミャンマーではFDIの大半は中国、タイ及びベトナムから来ています。
中国の会社は地域的な合併や買収を盛んに行っており、2015年には投資額は合計で500億ドルにまでなりました(アジア全体の約40%)。

地域的なサプライチェーン及びバリューチェーンは再形成されています。
中国及び日本のような高賃金国の会社の多くは、ASEANへの移動を考慮し始めています。
中国企業は更に中央アジア及び東南アジアへ進出し始めています。
この流れが続くと、地域的なサプライ及びバリューチェーンが確立されていき、アジアで独立した統合経済の確立につながります。
アジアの国々は協力し、包括的で環境に配慮し、経済的にも安定した地域を作っていく必要があります。

人々が国境を行き来する事もまたアジアの経済の独立につながります。
2010年のアジア内の移民者は全体の38%で、2015年には36.7%に下がってしまいましたが、人数的には3,060万人と良い数字を出しています。
アジアへの旅行者も増加しており、海外からのGMSへの旅行者は2015年には6,000万人にまで達し、2008年の2,600万人と比べるとかなりの成長が見受けられます。
これらの事から、アジア各国政府が国境間の移動をさらに促進させる努力をしなければならないとプレッシャーを感じています。

アジアの政府は、品物、サービス及び労働力の移動が更に簡素化するような地域及び国間での交通網を発達させなければなりません。
この事に関しては、交通機関の建設がGMS内では活発になってきています。
地域間の交通機関の連結は、徐々にではありますが進められてきています。更に発展させるためには、更なる政策や政府の協力が必要です。
更に、アジア地域での新たな輸送機関、ロジスティクス(輸送機関を独立させる地域の枠組み等を含む)の開設が必要です。
GMSにおいての貿易の円滑化に関する協定は確実な第一歩です。しかしこれではまだ足りません。

過去10年アジアは資本不足の解消に成功し、現在は豊富な資本を獲得しています。
アジア経済においての外貨両替も、1990年代の7000億ドルから、2014年には4兆ドルにまで上昇しました。
資本の流れはアジア内のみではなく、他地域からも増えています。
これは、資金面においての地域及び国の発達に大きく関わっています。
アジア諸国の発展において海外からの経済援助も不可欠ですが、彼らは経済をさらに発展させ、ライバルになっていかなければなりません(海外からの援助なしではやっていけない時代は終わったのです)。
経済改革によりアジア地域や国間においての協力及び統合が活発化し、これらは独立した経済の確立へつながります(これにより物品、サービス、労働力及び投資の国間の移動も活発化する)。
AECによるアジア単一市場及び生産拠点という目標は、近い将来実現する可能性を秘めています。
包括的で、環境に配慮し安定した経済を築いていくには政府が一丸となり協力する事が不可欠です。

ADBの大メコン圏においての責任者です。ADBに加わる前にはWTO(世界貿易機関)組織のベトナム外務省でありベトナムのWTOへの参加に貢献しました。同様にベトナムとアメリカ合衆国の二国間貿易協定にも携わっていました。
インドネシア、ジャカルタのASEAN事務局においてプログラム調整組織を率いていました。