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ASEAN(東南アジア諸国連合)においての労働力の移動

2015年末のAEC(ASEAN経済共同体)の設立により、成長過程にある地域においての政治、経済及び異文化の統合の重要な画期的変化を達成しました。
ASEANブループリントが2007年に出来て以来、ASEANでは「ASEAN内での物品、サービス、投資及び熟練労働者の自由な移動、そして自由な資本の流れにおいての改革」を目指してきました。
地域内でこれらの項目における自由化及び統一化がかなりの成長を見せている中、熟練労働者の自由な移動においては遅れを取っています。
ASEANの目標では、自由な労働者の移動としていますが、現在の規約はすでに自由な労働者の行き来が行われているEU(欧州連合)の後を追っているだけでなくASEAN内での協定はNAFTA(北米自由貿易協定)、CARICOM(カリブ共同体)に比べ、やる気のない地域間協定が多いのです。
地域間協力が欠如する中、国家主義者、保護貿易主義及び政治的事柄も自由な労働力の動きを妨げている事に関係しています。
しかし、雇用主は特定の分野においての熟練労働者の採用を促す協定を有利に使う事も可能です。
主にMRA(相互承認協定)により熟練労働者の自由な動きは認められ、(MRAは各国で認められている能力、技術、経験及び認定書がASEAN内で有効になる)母国以外での労働を可能にします。

MRAは現在以下の職業において認められています。
・エンジニアリング
・看護
・建築
・薬学
・歯科医
・旅行業
・測量(枠組み)
・会計(枠組み)

MRAにより定められている基準はそれぞれの職業によって異なります。
例えば、エンジニアはまず母国の規制機関が発行している免許を取得する必要があり、更に卒業後最低7年間の労働経験が必要です。
これらを終え、ようやくACPECC(ASEAN公認プロエンジニア統合委員会)に応募できます。そしてもし採用されればASEAN公認のエンジニアとしてASEAN内の他の国で労働する事が可能になります。
一方、旅行業では個々の評価は全般廃止され、旅行に関する32の職業が自動的にMRA対象になりました。
MRAの他にも、MNP(自然人の移動) ASEAN協定、ACIA(ASEAN包括的投資協定)によりビジネスビザ取得の手続きは簡素化されました。
物品及びサービスの貿易、投資家、ビジネス訪問、契約サービス供給者、会社内訪問者などの国間の行き来や滞在も以前と比べ簡単に出来るようになりました。

MRAにより規制されている8つの職業においての自由な労働力の行き来は、以前よりは増えているものの、それ程活発ではありません。
例を挙げると、NAFTA(連合国というよりは地域的な貿易協定)では63の分野の職業において、カナダ、アメリカ合衆国及びメキシコ間の自由な行き来をするのに必要なものは雇用契約のみです。
MRAにより移民してきた労働者の割合はその地域の労働者のたった1.5%の割合で、ASEAN内の87%の労働者は何の技術も持っていません。(そのうちの多くの人は正式な協定に基づき移民してきた人ではありません)
MNPとACIAが国境をまたぐビジネスを促進している中、ビザについては地域ごとに規定が異なり、雇用主がASEAN各国から技術者を雇う機会を増やしていません。
MRAが適用される職業が少ない事、さらに実際にMRAの制度を使う事もまた難しいのです。
カンボジア、タイ、ミャンマー及びラオスでは、移民労働者の行き来が行われる際に会社は将来的には移民労働者が地元労働者に変わり活躍していくことを示さなければなりません。
インドネシアでは、移民労働者を雇う際、地元の労働者だけでは対応しきれないということを証明しなければなりません。
フィリピンでは更に、特定の職業において移民労働者を禁止しています。
しかし国際的な会社ではこれらの規制を避けることが可能です。(1つの国で労働者を雇い、彼らを海外支社へ移動させる。)
東南アジアの多くの国での労働規制は、労働力の自由な移動についての政治的及び地域的な意欲の欠如を表しています。
政治家、企業団体及び地域が移民労働者がより発展している国に流れ込んでしまい、競争が生まれる一方、発展途上国では高等教育を受けた貴重な国民が全て外国へ流れ出てしまう事を恐れている事が原因の一つです。
これらのことが懸念される中、フィリピン、インドネシア及びベトナム(これらの国はASEAN内の他国からの高等教育を受けた移民労働者を有利に活用できる)では、労働力と技術が不足しています。
同様に、タイ、マレーシア及びシンガポールでも労働力不足に困っています。(この点においてはインドネシアは若い世代の労働可能者が多く、自国で賄えている)

労働力の効果的な自由な移動を目標にするに当たり、様々な産業において規制が必要になります。また規制だけではなく、良識ある機関などが、そういったところに入り監理が行えると良いでしょう。

東南アジアに進出して10年を超える企業や海外現地工場で生産を行っている企業、海外現地にてサービス業を行っている企業などで構成されています。
組合案内 (リンク:日越振興協同組合

ASEANの航空業界を例に挙げると、資格、訓練、安全面、メンテナンス、航空交通規制及びオペレーションにおいての共通する規制はありません。
ASEAN内の工業において共通のガイドラインを作る事は地域産業の成長を促し、巨大な労働力を生み、地域協力を促すことにつながります。
ASEAN資格参照枠組みの設定によりいくつかの面においては国際的な認定を作り、規制の共通に働きかけ、更に大学などでも共通した基準を設ける事を促しています。
長い目で見ると、ASEAN内での労働力の移動は実現すると思われます。しかし、自由な労働力の移動においては、遠い道のりになりそうです。
この点はAEC(ASEAN経済共同体)において唯一明確な目標達成に向けての計画がありません。
自由な労働力の動きをASEANが目標にしてきていることを踏まえ現状を見てみると驚きが隠せません(国間の労働者の移動があまりにも少なすぎる為)。
実際、ASEAN内の企業がASEAN外からの労働者を雇うよりもASEAN内の労働者を雇う方が利点がある、という訳ではありません。
多くは、ASEAN内又はASEAN外の国から労働者を雇う場合、どちらもビザ及び雇用許可取得の手続きはどちらもさほど変わらないのです。
MRAが適用されている職種においても、雇用主はASEANにこだわらず、更に広い選択肢から労働者を選びます。
ASEANで事業を行う際、事業主はASEAN各国の発展の差と複雑な規制及び将来的な労働者不足の可能性も考慮する必要があります。